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【デスノート新作読み切り】主人公がありふれた名前である理由(ネタばれあり)

漫画「デスノート」新作公開!

『DEATH NOTE』の新作(ネーム)が「少年ジャンプ+」に掲載されました。
デスノートの魅力といえばは小畑健の圧倒的な画力と、大場つぐみの練り込まれたシナリオですが、今回はネーム(下書き)での公開ということで、画としての見どころはありませんが、お話だけでも十分に楽しめる作品になっています。


(以下 少年ジャンプ+のリンクです。期間限定無料公開なので、未読の方は是非!)

https://shonenjumpplus.com/episode/10834108156668356542


今回の新作では、新しく登場した主人公のノートの使い方が話題になっていますが、自分が気になったのは主人公の名前です。
これまでのデスノートでは、主要人物や殺人ノートに記載された名前は全て実在の名前と被らないように、漢字に当て字が使われていました。
例えば、主人公の「夜神」月であれば通常なら「八神」、
相沢「周市」、「模」木完造など、普段名前に使われにくい漢字をあてる配慮がされていました。
高田清美だけなぜか例外的に普通ですが、登場段階では端役で終わる予定が後々重要人物に変わった為と言われています。

 

主人公の名前は「田中実」
しかし新作の主人公は「田中実」で、じつにありふれた名前と言えます。
これまでのルールを踏襲するなら、「多中」や、「実乗」など、当て字を使うのが自然だと思いませんか?

それはさておき、話題となっている今回のノートの使い方ですが、主人公がノートによる殺人を一切行わず、ノートを売る事で主人公が利益を得るというお話になっています。オークションで破格を付けさせ、それを不特定多数の人物に均等に振り込ませることで、自らも足がつかない形で大金を得るという手段を取っています。
つまり、主人公は「木を隠すなら森」の戦術を取った訳ですが、この一見シンプルな作戦にL(ニア)もなすすべもなく敗北しています。

ありふれた名前である「理由」
今回、主人公の名前が普通なのも実は同じ戦術じゃないのかな?と感じています。
田中実さんは、全国では相当数の同姓同名の方がいると想像できます。
それだけありふれた名前だという事ですね。
恐らく全国の田中実さん自身も、自分はありふれた名前という自覚をある程度持っていると思います。

傍観者効果
心理学には「傍観者効果」という心理効果が存在します。
自分の周りに人が沢山いると、周りの人の動きに自分も同調してしまう現象で、都会の道端で人が倒れていてもすぐに助ける人が少ないのはこの為と言われています。
この心理効果を応用すると、自分がありふれた名前という自覚あがあれば、もし作中の名前に不満があっても「誰かが言うだろう」という心理が働いて、実際に不満を漏らす人は少なくなるという予想ができます。
つまり、主人公の名前をごくありふれた物にする事が、結果的に読者への配慮になっているという事ですね。
田中実が多数存在する「森」に、田中実という「木」をうまく隠したと解釈すると、作中の主人公の戦術と重なります。

最後のオチは・・・

作品の最後のオチは、ルール自体を変えてしまうかなりメタ的な手法なので、自分は正直あまり好きではありません。
ルールを変えた理由もイマイチだし・・。せめて何か前振りが欲しかったですね。