有名アニメスタジオでの凄惨な事件
アニメーション業界の宝とも言えるクリエーター集団、京都アニメーションにおいて、放火で33人もの方々が逃げ遅れて亡くなるという凄惨な事件が発生してしまいました。
今回の事件があまりにもショッキングだったのは、事件現場が世界的にも有名なアニメスタジオで、被害者は作品を生み出してきたクリエーター達、そしてその被害規模の大きさ故ではないでしょうか?
現場である京都アニメーションのスタジオは、3階建てのビルで通りに面した側には窓も複数あり、低層階の建造物という意味では、高層ビルの火災と比べると、比較的退路を確保し易い印象を受けます。
また、夜間の火災ではないので、寝ている間に火が回っていて逃げ遅れたという可能性もありません。
では、何故ここまで被害規模が大きくなってしまったのか。
正常性バイアス
日々生活している中で、突然非日常の出来事が起きると人はその出来事を過小評価する傾向があります。
これを心理学では「正常性バイアス」、「日常化の偏見」などと表現します。
有名な例では、東日本大震災での津波の被害は、警報が鳴っているにも関わらずすぐに避難をしなかった為逃げ遅れて亡くなった方が多くいると言われています。
自然災害や、事故が発生した時、「自分だけは大丈夫」と安易に考えてしまう傾向は誰にでもあるのではないでしょうか?
日常の激務が正常性バイアスを強化した可能性
アニメーション業界といえば、激務である事と賃金の安さからブラックな業界であることが知られています。
仕事中は高い集中力を求められ、常に締め切りに追われるスケジュール感が日常化している為、アニメクリエーターは仕事への没入度が非常に高い業種と言えます。
作品への異常なまでのこだわりと、クオリティを高く評価されている京都アニメーションでは尚更ですね。
だからこそ、今回の様な非日常な出来事が起きた時にすぐに仕事を放棄して、クリエーターにとっての命とも言える原画などの仕事書類をそのままにして、自身だけすぐに避難行動を取る事は容易ではないと想像できます。
京都アニメーションのこだわりの強さ、プロ意識の高さが今回の事件の被害規模を拡大してしまった可能性があるとしたら、大変皮肉な話です。
事件の客観的な評価はこれから
とはいっても、まだ事件発生から日数が経過していないので、正確な判断はできません。
犯人は、放火に使用したガソリン以外にも凶器を持ち込んでいたという情報もあり、逃げ遅れた原因は多岐に渡る事も想定されます。
pray for kyouani 今、私たちに出来る事
今回の事件で亡くなった方の命が戻る事はないので、我々には祈る事くらいしかできないのかもしれません。
しかし、この事件から何かを学ぶとしたら、「非日常の出来事が起きた時は、私たちは出来事を過小評価するクセがある」という事を頭の片隅に置いておくことで、今後の人生において生死を分かつ様な場面にもし遭遇することがあったら役に立つかもしれません。