「正義のYoutube広告 あべりょう」 動画の内容
動画の中でいじめ被害者と加害者の実名を東京オリンピック当日Youtube広告で公表すると予告。
動画の冒頭部分で二組のいじめ加害者と被害者の名前が出てくるがこれは流石に実名ではないと思われる。
恐らく実名公表はされない(できない)と思うが・・・
スウェーデンの中学教科書に「いじめを目撃したら匿名で公表しなさい」という部分がある事をこの動画の根拠としており、「いじめていた奴らの人生なんか知ったことじゃない」という歌詞があるが、全世界にYoutubeで実名をさらされる事は、社会から抹殺されるに等しい。
いじめ問題を根深くしているのは、いじめの線引きが難しい事と、加害者と被害者が突然入れ替わるなど、間近で毎日接していても、誤った判断をし易いという点にある。
ましてや全く当事者性の無い第三者が十分な情報も無く一方的に加害者を裁くなどといった行為は許される物ではない。
いじめ行為の抑制を狙ったものとしても、既に書いたように加害者と被害者が簡単に入れ替わるなど、いじめ問題は非常にセンシティブな側面があるので、力業で解決できる様な類のものではない。
動画の危険性
冒頭部分で使われている二組の名前は、学校名が現在は存在しない物であることから偽名であると分かる。
しかし偽名であるとしても良くある名前を採用している為、全国に同姓同名の人物が多数存在する事は容易に推測できる。
その人物がこの動画を契機にいじめのターゲットになる可能性は十分考えられる。
また、いじめ当事者を本人の許可なく実名で公表するなど、広告素材としてYoutube側が許可するとは到底思えない為、少し考えれば動画の予告内容を実行する事は不可能と分かるが、大人より情報リテラシーの低い当事者である子供たちはそのまま事実として信じ込んでしまう可能性がある。
そして、そこに期待や希望を持ってしまった子供たちが、「事実ではない事」を知らされたとき、何が起きるか、正直想像もしたくない。
これらのリスクを考慮した上で、今回の動画の配信をYoutube側が承認しているのか、疑問が残る。
そもそも実現可能性はあるのか?
自分は実名公表という手段そのものに反対ですが、そこは一旦なまはげ文化を尊重する事にして、実現可能性を検討してみたいと思います。
まず、現実問題としていじめ情報の真偽は関係者でない限り確かめようがないので、不特定多数から確立された手段も無いまま情報を集めるとなると、必ず冤罪や二次被害を生みだすと考えます。
この点だけでも、とても個人で責任を負いきれるような行為とは思えません。
となると、責任主体を明かさない形をとるしかない訳ですが、この時点で広告などの合法的な手段は使えなくなるため、あべりょうさんの手法は破綻していると言えます。
もし実行するなら非合法な手段、例えばスパムメールで情報を拡散していくなどしか、自分には思いつきません。
スパムメールなら匿名掲示板に書き込む行為と大差ないと指摘されそうですが、強制的に情報を目に触れさせるという点では大きく異なると言えます。
なので、資金力のある主体がこれを行えば一定の効果が望めるとは思います。
だからスパム行為は無くならないとも言えますが・・・。
(この記事内容に賛同された方は、Twitter、フェイスブックなどで記事の共有、拡散をお願い致します)