サイコパスを外見だけで判断することは可能なのか?
と言えば、それは難しい。
しかし、彼らは非言語によるコミュニケーションを行う際に、いくつかの特徴的な行動を示す事が知られている。
その一つは、精神病質の『凝視』と呼ばれる症状。
カナダの心理学者ロバートヘア博士は、サイコパスと視線を合わせる行為の危険性を指摘している。
博士の研究によれば、サイコパスの瞳孔は変化に乏しく、一般の人が恐怖画像などを見た際に瞳孔が拡張する場面でも、反応が限定的としている。
そして、彼らは他人を騙したり、説得する際に被害者となる人物からけっして視線を外すことがない。
最近発表された、『凝視』についての新しい研究結果からは、サイコパス気質の高い人物ほど、会話中に頭をあまり動かさない傾向があることが発見された。
サイコパスの動きを映像から分析
この研究では、AIを駆使してニューメキシコ州の507名の受刑者へのインタビュー映像を分析している。
研究の結果からは、精神病質傾向の高い受刑者ほど、インタビュー中に頭を動かさない可能性が高い事が明らかになった。
また、これらの受刑者は、精神病質の中でも特に、攻撃性・衝動性・犯罪傾向などの反社会的特性が高いことが分かった。
一般的なイメージでは、他人を騙したり、病的な嘘をつくような精神病質を持つ人物は、積極的な身振り手振りを用いる傾向があると思われがちだが、この研究では、それを裏切る結果が示された。
原因は偏桃体の機能障害?
サイコパスによるコミュニケーションの特徴が偏桃体損傷患者と類似していることから、サイコパス気質は偏桃体の機能障害である可能性を研究者らは指摘している。
一般的に偏桃体損傷患者は、他人とのコミュニケーション上の不具合、例えば会話の際に顔を近づけすぎるなどの特徴がみられるが、これはサイコパス傾向を示す受刑者も同様の傾向が見られることから、サイコパスの原因が、偏桃体機能の障害によるものとする可能性を、研究者らは指摘している。