20世紀後半のヨーロッパ。死刑囚が収監されている建物の一室で、死刑囚のブアメードに医師からある提案が持ち掛けられた。
「お前は間もなく死刑になる身だが、私から一つ提案がある。人間は血液の10%を失うと死に至ると言われているが、これを実証するのは極めて難しい。そこで、お前に実験に協力して欲しい。」
「実験に成功すればお前は死ぬことになるが、医学の進歩に貢献する事で、お前の死に意味を持たせることが出来る。」
ブアメードは逡巡した後、これを了承した。
ブアメードの腕には血を抜き取る為のチューブが挿管され、抜き取られた血が滴り落ちる「ポトリ・・ポトリ・・」という音だけが、室内に響いた。
しばらくして医師が、
「間もなく致死量の10%に到達する」と告げた時、ブアメードは既に絶命していた・・・。
このお話(一部脚色)は実話ですが、驚くのはこれが心理学の実験だったということです。
どういう事かと言うと、実はブアメードの体からは一滴も血は抜き取られておらず、滴り落ちていたのはただの水でした。
しかしブアメードは致死量の血液を失ったと「勘違い」した事で実際に死に至ってしまったという恐ろしい話です。
この実験は心理学で「ブードゥー死」と呼ばれ、心と体が密接な関係にある事を証明する実例として伝えられています。
偽物の薬でも本物と思い込むことで効果が現れるプラシーボ効果は有名ですが、これとは逆に思い込むだけで副作用など身体にとってマイナスの症状が現れることをノーシーボ効果と言います。
このノーシーボ効果の極端な例が、今回のお話(ブードゥー死)という訳です。
ただの勘違いや思い込みだけで人は死ぬことさえあるという事実。
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