●何故『Sparkle』のiriは男性っぽく見えるのか?
始めてこのMVを見た時、iriについての事前情報が無く、歌声と映像を見る限り男性か女性かの判別がつかなかった。でも、他のiriのMVを見ると男性と聞き違うほど低音域ヴォイスであるにも関わらず、女性アーティストである事はすぐに理解できた。
では、何故SparkleのMVでは判別が難しかったのか?
心理学的な視点から分析してみた。
●「マガーク効果」
心理学に関心が無ければあまり聞き慣れない言葉だと思うけど、簡単に説明すると人は視覚情報によって聴覚情報が歪められるという事。
具体的には、「ガ」と発音している映像に、「バ」という音声を流すと、「ガ」でも「バ」でもなく、「ダ」と聞こえるという現象を指す。
文章だけではピンとこない人には、YOUTUBEの実験映像を見てもらえば分かりやすい。
この事から人は映像と音声が相互に干渉して総合的に情報を判断していると分かる。
つまり、iriのMVは音情報だけでは性別の判断が難しく、その事が映像への先入観を持たせてしまう為、混乱を招きやすい構造になっていると言える。
だけど、iriの他のMVを見る限りそんな混乱は無かったように思う。
●「映像と音声の相互干渉」を利用した仕掛け
そこで、『SPARKLE』と他のMVの映像を比較してみると、どうもあえてその混乱を招くような仕掛けを施しているんじゃないか?という疑問が湧いた。
何故そう感じたのか、具体的に映像を交えて説明してみる。
以下は映像からいくつか切り出したカット。
女性らしさが伝わりやすい胸やお尻のラインを映したカットが無く、ほとんどが肩から上の映像ばかりで長髪の男性か、女性か一見して判別が難しい。
カットを並べてみるとはっきりわかるけど、ライティングもあえて曇りの屋外や薄暗い室内、夜間のシチュエーションを使用しており、陰影から体のフォルムを認識する事が難しくなっている。
別のMVのカットと比較してみると分かりやすい。
以下は他のMV『Watashi』からのカット。
体のラインがはっきり確認できて、このカットだけでiriが可愛らしい女性であることが認識できる。
●結論
おそらくこの『Sparkle』のMVを制作した映像作家は、iriのMVを初めて視聴した人が、性別判断で混乱し、それがフックとなって視聴数増加や関心を持たせる効果を期待してこのMVを制作したんじゃないか?と推測できる。