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映画「コリーニ事件」感想(ネタバレあり)


ドイツで記録的ヒット!『コリーニ事件』予告編

映画「コリーニ事件」を観てきたのでその感想を書いてみる。

 

あらすじ

ドイツ人で会社オーナーのハンスがイタリア系移民のコリーニによって殺害される事件が起きる。

主人公の新米弁護士ライネンは、被害者が自身の恩人である事に気が付かないまま弁護を引き受けてしまい、葛藤の中で事件の真相を探っていく。

そして次々と新しい真実が明かされていくうちに、この事件が壮大な復讐劇である事が露わになっていく。

 

 

ラストの謎

ラストでのコリーニの行動は謎が残るが、自分の解釈としては、裁判中にコリーニ自身が口にした「正義がほしんいだ」のセリフがその謎を解くカギになると考える。

欧米型の正義とは、日本型の個人主観の勧善懲悪の概念とは違い、「ジャスティス」つまり法による裁きという色合いが強い。

だから、アメコミヒーローもアベンジャーズなど形だけでも法の執行代理人という肩書を持たせるため、国家組織に属していたり、その関係者と連携している場合が多い。

つまり、コリーニが求めた正義とは、法による裁きと捉える事できる。

そしてこの言葉は自分自身が復習を果たす為とはいえ、法を犯してしまう矛盾を生む原因にもなってしまった。

結果的にコリーニの望みは叶う形になるが、同時に自分の抱えた矛盾を解消する為にあのラストに繋がると解釈すると納得がいく。
ハンス殺害場面のコリーニの表情を見ると、怒り任せた復讐という印象は無く、むしろ戸惑いの表情を浮かべている。この事からコリーニ自身は自らの手で罰を与える行為に葛藤を覚えていたと解釈できる。

 

 

もう一つの謎

謎というまでもないかも知れないが、主人公が恩人の仇であるコリーニを弁護する為に何故そこまで力を尽くす事ができたのか。
おそらくそれは主人公もトルコ系の移民であるという点。
映画のいくつかの場面で、彼がトルコ系である為に差別的な言葉を浴びせられるシーンがあるが、その事が同じ移民系であるコリーニへのシンパシーに繋がり、真実を追求する行動へと駆り立てたと捉える事ができる。

 

意外性

意外だったのは、コリーニがイタリア人、つまり大戦中のドイツにとっての同盟国の住人であったという点。彼が敵対国であるフランスやイギリスの住人であれば、そこまで違和感も無かったと思うが、同盟国の人間に対してまで非道を働いたという事実がより衝撃度を増している。

そもそもユダヤ住民は同じドイツ人であったと考えれば、当然と言えるのかもしれないが。

 

この映画のテーマは?
映画のラストで原作小説が発表された際、小説内で取り上げられた法律が現実でも問題視されその後改正されたという経緯を説明している点などを踏まえると、反戦平和、歴史修正主義への批判といったメッセージが込められている事が分かる。
近年日本でも他国から歴史修正主義の批判を受けるケースも増えている様に感じる。
その意味では、決して他人ごとではない、自らへの戒めとすべきテーマでもあると言える。