見たい夢を自由に見れたら?
これまでにそんな考えが浮かんだ人はたくさんいると思う。
そんな誰でも一度は望んだことがあるテーマを実現する為の技術が、MITのメディア研究所によって生み出されようとしている。
ただし、現段階ではまだ一般公開までは実現できていないが、近い将来可能になると言われている。
夢の内容が、私たちの記憶やメンタルヘルスに関連している可能性があるという事実は、とくに目新しいものではない。
だがMITメディア研究所は、生活改善することを目的として、夢の内容を操作する技術の研究を進めている。
研究者のアダムホロウィッツ氏は、記憶力、創造性、不安やうつ病などの問題に関して、「夢をコントロールすることは、それらの課題に対して大きな効果が期待できる」と語っている。
これまでは、睡眠時間を休息以外で効果的に利用するテクノロジーは存在しなかったが、MITメディア研究所の夢ハッキングデバイス『Dormio(ドルミオ)』は、これまでの常識を一変させる可能性がある。
ドルミオは、眠りにつく前の半意識状態を操作・拡張することによって、夢の内容を操作することを可能にする手袋型デバイスだ。
ドルミオの仕組みは?
ドルミオは着用者の睡眠サイクルを記録し、半意識状態で音声信号を発信することで、望みのテーマへと夢の内容を誘導する事ができる。
着用者がより深い眠りに落ち始めた場合、ドルミオは彼らに夢の内容を説明するよう促す。これは、目を覚まさせるためではなく、半睡眠状態を維持する為の手段だ。
最近の研究では、被験者がドルミオによって「木の夢」を見るよう促された場合、67%の人が実際に木に関する夢を見たという結果が得られている。
ちなみに一般的な夢の内容で「木」に関連する夢を見る可能性は数%に過ぎない事を考えると、その効果のほどは明らかだ。
見たい夢を見る以外にどんな効果が期待できる?
期待できる効果としては、創造性の向上があげられる。
ドルミオによって「木」の夢を見た人の中には、その後「木」に関連する物語を書いたり、「木」という単語についての連想力テストで良い結果を残したりと、創造性の向上が見られる結果が得られている。
だが、ゴシック小説「フランケンシュタイン」で有名な作家メアリー・シェリーや、画家のサルバドール・ダリなど、夢からインスピレーションを受けた歴史上の人物がたくさん存在することを考えると、夢の内容を操作することが創造性を高めるという可能性は十分説得力がある話だ。
ドルミオの開発状況は?
ドルミオの設計は現在オープンソースされ、ハーバード大学、デューク大学、シカゴ大学、ボストン大学などで、独自に研究が進められている。
人生の1/3の時間を費やす睡眠時間。
これを有効に活用しようとする試みはこれまでもあったが、ドルミオの実用化で睡眠に革命が起きるのも時間の問題かもしれない。