異例の放送
「お客様のモラルに問います。撮影はご遠慮下さい。」
10月2日発生した新宿駅での人身事故の際、駅員による異例のアナウンスが行われた。
事故現場を目隠しする為のブルーシートの隙間にスマホを差し込んで撮影する利用客が複数いたため、この事態を見かねた駅員によってこの「異例の放送」が行われた。
何故撮影するのか?
答えは簡単で、見たがる人がいるから。
個人で楽しむため?に撮影する人はまずいない(いたら恐ろしいが)ので、SNSなどにアップしてアクセスを稼ぐことが目的である事は想像できるが、目的が手段を正当化するかと言われれば、必ずしもそうはならない。
「怖いもの見たさ」の心理
なぜ見たがる人がいるのかと問われれば、そこには怖いもの見たさの心理が働いている為と説明できる。
人は「見てはいけない」と言われると、自由を阻害されたと感じ心理的抵抗感を覚える。
これを専門的には「心理的リアクタンス」「カリギュラ効果」などと表現する。
「カリギュラ効果」とは、過激な内容の為、公開が制限された映画「カリギュラ」が逆に人々の興味を引いてしまった現象から、このような呼び名が付いた。
この記事のタイトルにも使用している「閲覧注意!」の煽り文句も、このカリギュラ効果を利用したものと言える。
「モラルを問う」、道義的責任とは?
では、見たい欲求があるなら撮影は許されるのか?と言われれば、もちろん答えはNOだ。
今回の騒動を心理学的に解釈すれば、人間にはそういった欲求や心理傾向がある事が分かる。だから、ホラー映画を観に行くのは一向に構わないが、今回の様な行動を正当化する理由には全くならない。
人間各自が欲求のまま行動すれば、社会は崩壊してしまう。
これを防ぐために人間社会には法律や行動規範が存在するが、今回の件は明らかにこの行動規範を逸脱している。
今回の報道を受けてネット上では、
「そんな輩は逮捕して牢屋へぶち込んでしまえ!」
などと言った過激は発言も見られるが、残念ながら違法性が無い以上法治国家としては、あくまで個人のモラルに問うしか方法はない。